当科大学院生の感想文
猪塚真志先生(平成28年度 鳥取大学卒、令和3年度 大学院進学)
私はこれまでは基礎研究とは縁遠い生活を送ってきましたが、国立国際医療研究センター病院での初期研修・膠原病科での後期研修で日々診療に従事している中で、依然として自己免疫疾患は解明されていない部分が多いことを痛感し、臨床に加えて研究にも興味を持つようになりました。実際、いくらガイドライン通り治療してもコントロールが難しい患者さんや、治療薬による副作用に苦しむ患者さんは、残念ながら一定数いらっしゃいます。こうしたアンメットニーズの多い膠原病分野の発展のためには、免疫学をより深く理解し、自身でも研究でその発展に少しでも貢献できればと思い、後期研修を終えた医師6年目で大学院に入りました。
1年目は臨床業務がメインで、市中病院にはそう多くない難治例も含めた症例を経験し、2年目からは研究に専念しています。現在の私の研究テーマは、これまで当科で蓄積してきた、膠原病患者さんの臨床情報・遺伝子発現データベースをもとにした自己免疫疾患全般の層別化の試みと、炎症性筋疾患の末梢血の1細胞RNA解析の2つのテーマです。自分自身で研究を行い、免疫学について勉強をすることは想像していたよりもかなり楽しいことです。自分の研究自体のことだけではなく、今まで診療していた患者さんを思い返して、「あの患者さん、もしかするとこういった細胞がこんなふうに病態に関与していたのではなかっただろうか」など、今までなかった視点から病態についてあれこれ考えてみたり、これまで全く理解のできなかった基礎論文が徐々に理解できるようになってきたりと、日々少しずつ成長を実感しながら、充実した大学院生活を送っています。
学会発表の機会も多く、今まで全く馴染みのなかった実験手技全般に加えて、プログラミングを用いたドライ解析など様々な技能を身につけられるのは、幅広い疾患を対象としており、じっくりと研究に専念できる時間を確保できる当教室ならではなのかもしれません。
藤尾教授をはじめ、充実した教育体制が整っており、自分のやりたいことを全力で応援してくれるバックアップ体制が整っています。
膠原病分野はベッドサイドとベンチの距離が近い領域です。ぜひみなさんと一緒に臨床・研究ができることを楽しみにしています。