当科大学院生の感想文
河野 正憲先生(平成23年 東京大学卒、平成27年度 大学院進学)
私は初期研修終了後、膠原病科の後期研修医として2年間他院で勤務し、医師5年目で大学院に入学しました。後期研修では優秀な指導医、同僚と議論しながら数多くの膠原病患者さんを診療する機会に恵まれ、臨床医学への興味は尽きないものでした。
しかしながら、教科書通りには治療が進まない症例や診断がつかない症例も経験し、「疾患名」ではなく「病態」を考えながら治療することの重要性を痛感しました。「免疫学」は好きではあったのですが、臨床業務をこなしながら、臨床に活かせる程度に深く勉強する時間を得られずに苦しい思いもしました。
膠原病に対する治療方法は、近年目覚ましい進歩を遂げています。しかし特定の薬剤が実際の患者さんに本当に有効か否か、使ってみるまでわからない、という現状も少なからずあります。これらの状況を改善したいと考え大学院の入学を決めました。
4年間ある大学院博士課程のうち1年目は病棟業務を行い、2-4年目の3年間で研究を行います。現在私はマウスを用いて全身性エリテマトーデスの研究を行なっています。今まで研究に従事した経験がなく、右も左も分からない状態から研究を開始しましたが、指導教官の指導や議論を通じて実験手技、思考方法を無理なく身につけることができました。
当大学院の特徴として、患者さんの末梢血を用いた遺伝子解析(バイオインフォマティクス)と、マウスを用いた基礎免疫学の両者を行なう点が挙げられます。私の実験テーマも疾患感受性遺伝子から見つかった候補をターゲットとしています。最終的に疾患の治療、疾患の克服を目指した研究を行なっていますので、マウスデータのみに終始することのない研究環境は理想的なものであると考えております。
リウマチ学は研究と臨床が近い位置にあります。そのため、研究指向の人はもちろんのこと、今後臨床に専念する予定でも、大学院での研究は有意義だと考えます。
残りの期間でさらに研究を進め、リウマチ学、膠原病学の進歩に少しでも役立てるよう努力したいと思います。