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疾患解説

Chapel Hill Consensus Conference 2012改訂による血管炎の分類

血管炎とは、血管壁に炎症をきたし、その結果出血、血流障害、梗塞が生じて臓器障害をきたす疾患の総称である。血管炎はその主たる炎症を生じている血管の血管径により以下のように分類される。それぞれの疾患の定義・特徴を下記にまとめる。

図 大型、中型、小型血管炎の病変分布

Jennette JC et al. 2012 revised International Chapel Hill Consensus Conference Nomenclature of Vasculitides. Arthritis Rheum 2012. より引用

名 前 定 義
大血管炎 大血管(大動脈とその主分枝)を高頻度で侵す。
高安血管炎 肉芽腫性血管炎が多く大動脈and/orその主分枝が侵される。50歳以下の発症が多い。
巨細胞性動脈炎 肉芽腫性血管炎が多く大動脈and/orその主分枝が侵される。頸動脈、椎骨動脈の分枝や側頭動脈が侵されることが多い。50歳以上の発症が多くリウマチ性多発筋痛症と関連あり。
中血管炎 中血管(主内臓動脈とその分枝)が主に侵される。あらゆるサイズの動脈が侵され得る。炎症性動脈瘤や狭窄が多い。
結節性多発動脈炎 糸球体腎炎、細動脈炎、毛細血管炎、細静脈炎をおこさない壊死性中小血管炎。抗好中球細胞質抗体(ANCA)と関連なし。
川崎病 皮膚粘膜リンパ節症候群と関連した血管炎で主に中小血管を侵す。冠動脈が高頻度で侵される。大動脈や大血管も侵され得る。幼児や小児に発症。
小血管炎 主に小血管(内臓実質内動脈、細動脈、毛細血管、細静脈)が侵される。中動脈や静脈も侵され得る。
ANCA関連血管炎 主に小血管(毛細血管、細静脈、細動脈、小動脈)を侵す免疫複合体沈着がほとんどない壊死性血管炎。全患者ではないが、MPO-ANCA、PR3-ANCAと関連する。
顕微鏡的多発血管炎 主に小血管(毛細血管、細静脈、細動脈、小動脈)を侵す免疫複合体沈着がほとんどない壊死性血管炎。中小血管の壊死性動脈炎が存在し、壊死性糸球体腎炎や肺毛細血管炎が多い。肉芽腫はなし。
多発血管炎性肉芽腫症
(旧名 Wegener肉芽腫症)
上下気道を侵す壊死性肉芽腫性炎症で小中血管(毛細血管、細静脈、細動脈、動脈、静脈)を主に侵す壊死性動脈炎。壊死性糸球体腎炎が多い。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症
(旧名 Churg-Strauss症候群)
呼吸器系を侵す好酸球浸潤の多い壊死性肉芽腫性炎症で、主に小中動脈を侵す壊死性血管炎。気管支喘息や好酸球増多と関連。糸球体腎炎が存在する際にはANCA陽性率が高い。
免疫複合体性血管炎 血管壁への免疫グロブリンand/or補体沈着を起こす主に小血管(毛細血管、細静脈、細動脈、小動脈)炎。糸球体腎炎が高頻度に発生。
抗糸球体基底膜抗体関連疾患
(旧名 Goodpasture症候群)
糸球体、肺毛細血管を侵す血管炎で、糸球体基底膜に抗GBM抗体が沈着。肺浸潤により肺胞出血、腎浸潤により壊死や半月体を伴う糸球体腎炎をおこす。
クリオグロブリン血管炎 小血管(主に毛細血管、細静脈、細動脈)を侵すクリオグロブリン沈着を認める血管炎で血清クリオグロブリンと関連。皮膚、腎臓、末梢神経を高頻度に侵す。
IgA血管炎 (旧名Henoch-Schönlein紫斑病) IgA1優位の免疫グロブリン沈着をおこす血管炎で、小血管(主に毛細血管、細静脈、細動脈)を侵す。皮膚、消化管を侵し、高頻度で関節炎をおこす。IgA腎症と判別困難な糸球体腎炎も起きえる。
低補体蕁麻疹様血管炎
(抗C1q血管炎)
蕁麻疹や低補体血症を伴う小血管(毛細血管、細静脈、細動脈)炎で、抗C1q抗体と関連。糸球体腎炎、関節炎、閉塞性肺疾患、炎症性眼病変を高頻度で起こす。
多彩な血管を侵す血管炎 あらゆる大きさ(小、中、大)の血管、動脈、静脈、毛細血管などの様々な血管に病変のある血管炎。
Behçet病 Behçet病(反復性口内炎、陰部潰瘍を特徴とし、皮膚、眼部、関節、消化管、中枢神経系の炎症性病変を合併する)患者に起きる血管炎で動脈または静脈を侵す。小血管炎、血栓性血管炎、血栓症、動脈炎、動脈瘤が起きえる。
Cogan症候群 Cogan症候群(間質性角膜炎、ブドウ膜炎、上強膜炎などの炎症性眼病変と、感音性難聴、前庭機能障害などの内耳疾患が特徴)患者に起こる血管炎。動脈炎(小、中、大血管)、大動脈炎、大動脈瘤、大動脈弁膜炎、僧房弁膜炎が生じる。
単一臓器での血管炎 単一の臓器に生じる様々なサイズの動脈、静脈の血管炎。全身性血管炎を示唆する特徴がない。罹患臓器や血管の種類を名前に含める(例:皮膚小血管炎、精巣動脈炎、中枢神経血管炎)。血管炎の分布は臓器内で単発性またはびまん性。単一臓器での血管炎と診断された後、他の症状が現れ全身性血管炎の診断に変わることもある(例:皮膚動脈炎→結節性多発動脈炎)。
全身疾患に関連した血管炎 全身疾患に関連した血管炎。診断名には全身疾患を特定する接頭辞を含める(例:リウマチ性血管炎、ループス血管炎)。
病因が判明している血管炎 判明している病因に関連した血管炎。診断名には病因を特定する接頭辞を含める(例:ヒドララジン関連顕微鏡的多発血管炎、B型肝炎ウイルス関連血管炎、C型肝炎関連クリオグロブリン血管炎)。

表 Chapel Hill Consensus Conference 2012で採択された血管炎の名称・定義

Jennette JC et al. 2012 revised International Chapel Hill Consensus Conference Nomenclature of Vasculitides. Arthritis Rheum 2012. より引用


平成 30年 5月

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