内科専攻医研修・大学院進学・入局案内
当科ではリウマチ・膠原病、アレルギーに興味のある若手医師の皆さんを歓迎しています。専門性の高い領域ですが、教授以下、当科の経験ある指導医による丁寧な臨床・研究指導により、専門医・医学博士号取得はもとより、次世代のリウマチ学・アレルギー学・臨床免疫学を担う視野の広い人材育成を目標としております。
2018年度より新専門医制度に準拠した内科専攻医研修を開始いたしました。当科の病棟研修では一般内科領域の疾患についても幅広く経験しつつ、リウマチ、膠原病領域については豊富な症例も経験することができます。関連施設との連携や学術面での活動も充実しており、バランスの良い研修を行うことが可能です。
当科での内科専攻医プログラム登録を希望される方は、以下のアドレスへご連絡ください。また、病棟見学、研究室見学、個別相談、採用・入局相談は随時承っておりますので、ご連絡ください。
areriu-ikyoku@umin.ac.jp
なお上記アドレスへの連絡は当科見学・研修希望のある医師・学生のみ限定です(患者さんからの問い合わせ、他目的での連絡などには応じかねますのでご了解下さい)。
当科での内科専攻医研修について
2022年度の東大病院内科専攻医採用について、当科に所属する内科専攻医プログラム登録者の公募を行っています。内科学会における1次審査終了後に、東大病院の専門研修プログラムは学会ホームページにて公開されます。
卒後3〜5年目の医師を対象とした3年間のプログラムです。東大病院と連携施設を合わせた2か所以上の施設での研修が組まれることになります。以下は現段階での研修案ですが、勤務施設については希望を含めて採用時に相談いたします。連携施設につきましては、東京都立多摩総合医療センター、国立国際医療研究センター病院、東京都立駒込病院、東京都立墨東病院、日赤医療センター(広尾)、国立病院機構相模原病院、健康長寿医療センター、同愛記念病院、さいたま赤十字病院などが連携施設となっています。
専攻医研修1年目 | ①東大病院アレルギー・リウマチ内科にて病棟研修 ②連携施設にて内科ローテーション ③連携施設にてリウマチ・膠原病科研修 |
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専攻医研修2年目 | ①連携施設にてリウマチ・膠原病科研修 ②東大病院アレルギー・リウマチ内科にて病棟研修 |
専攻医研修3年目 | ①東大病院アレルギー・リウマチ内科にて病棟研修(大学院進学を考慮) ②連携施設にてリウマチ・膠原病科研修 |
当科の研修では、一般内科、リウマチ・膠原病の入院・外来診療を、最新のエビデンスに基づいて適切に行うことができる実力を養うことを目標とします。日々の臨床業務を通して、身体所見、データの読み方、鑑別診断などのトレーニングを積むとともに、文献検索やカンファランスでの議論を通して、最適な臨床判断ができる臨床家を育成しています。さらに、臨床研究、症例報告、学会発表、原著論文執筆などを行う機会も豊富に用意されています。臨床・研究の勉強会の機会も豊富で、基礎と臨床のクロストーク、最先端のトピックを含めて継続的に学習することができます。採用につきましては、面接・試験のうえ、決定いたします。
リウマチ専門医、アレルギー専門医のキャリアパスは下記をご参照ください。
https://www.ryumachi-jp.com/careerup-specialist/specialist/
https://www.jsaweb.jp/modules/attractiveness/index.php?content_id=1
大学院進学について
当科の大学院では、1年目は主に病棟で診療担当医として臨床の研修にあたります。この期間は内科専攻医研修期間およびサブスペシャリティーであるリウマチ専門医研修期間と兼ねることが想定されています。2年目以降は基本的にベッドフリーで研究に従事します。当科ではヒト免疫を解明し患者さんの診療に還す、とてもやりがいのある研究をしています。臨床的に重要な研究をすると、日本中、世界中のRheumatologistから反響があります。研究の経験がない方も一から丁寧に指導します。大学院生の研究のなかから、新たな知見、研究成果も多く生まれてきており、大きなプロジェクトにつながっております。2023年度は 18名の大学院生が在籍しています。
来年度以降、大学院入学について考えている方、当科の研究に関心のある方はぜひ一度、お気軽にご相談・見学に来てください。例年7月下旬〜8月上旬が願書提出締切です。東京大学大学院医学系研究科のホームページをご確認ください。当科以外の内科専門研修プログラム修了生の方の大学院進学希望についても歓迎いたします。
医局員の出身大学
当科医局員の約半数が他大学出身です。リウマチ、膠原病、臨床免疫学に興味のある若手に広く門戸を開いています。
出身大学(2022年4月)
東大、東京医科歯科大、東北大、北大、筑波大、群馬大、鳥取大、新潟大、大阪医大、京都医大、順天堂大、東京医科大、東京女子医科大、埼玉医科大、佐賀医大、三重大
医局出身者の声
医局内外で、自分の将来設計に沿った幅広い選択肢を取ることができます.女性のライフイベントとの両立についても重視しています。
1. 医学教育、地域医療(照屋 周造先生、H19年卒)
沖縄県立八重山病院の照屋と申します。私は東京大学を2007年に卒業し、沖縄県で初期・後期研修を終えたあと沖縄の県立病院で腎臓内科に所属していました。石垣島(人口5万人)赴任当時、リウマチ性疾患を診療できる医師は島内にいませんでした。独学で臨床を続けているうち、専門的にリウマチ性疾患を学びたいという気持ちが大きくなり2013年に入局しました。在籍中は大学院生として研究をしながらリウマチ性疾患の臨床トレーニングも積み、計5年間医局に在籍したのち、家庭の事情もあり沖縄に戻って診療を続けています。在籍中は臨床でも研究でも非常に自由にさせていただき、最後の2年間は学生教育にも関わることができました。アレルギー・リウマチ内科では研究を極めようというアカデミックな先生方だけでなく、地域医療や教育に興味があり卒後ある程度臨床だけをやっていた私のような存在まで分け隔てなく受け入れてくださり前教授(現名誉教授)の山本先生、現教授の藤尾先生はじめ非常に温かい雰囲気でした。医局は大学院生の同期も多く、優秀な同期ややさしく導いてくれる先輩方に指導していただけた5年間は素晴らしい経験をさせていただいたと感じています。リウマチ学に少しでも興味があればどんなバックグラウンドでもおすすめできる環境だと思います。
2. アカデミアでの臨床・研究(駒井 俊彦先生、H22年卒)
2010年北海道大学医学部卒業後, 聖路加国際病院にて初期臨床研修, 2012年から東京大学医学部アレルギー・リウマチ内科にて専門研修, 2017年から同内科学専攻博士課程修了. 同科特任臨床医を経て2019年より助教として勤務しています. 私は大学院生時代より、当科で発見した制御性T細胞の免疫抑制機序に着目した自己免疫疾患の新しい治療法を主としてマウスモデルを用いながら研究しています。また入院・外来では、リウマチ性疾患の患者さんの治療に取り組んでいます. リウマチ・膠原病分野の臨床では難診断, 難治例に対し,新しい視点やアプローチが必要となること, 同列の治療の中でどの選択肢が最適かと考えることは少なくありません. 多くの指導医とのディスカッションを通じて最適な診療方針を採れることに加え, 当科では、アカデミアの特性を生かして臨床で生じた疑問点, 病態理解の参考として、免疫担当細胞の解析, 期待される治療効果のマウスモデルでの検証等を行うことができ, 自由な発想で臨床上の問題点に即した探索的研究を進めることができます. また, 当科は基礎, 臨床の両面で幅広い他科, 他施設とつながりがあり, 共同の症例検討ミーティングや研究勉強会を通じて新しい着想を得る機会も豊富です. 私は3子を育てる夫婦共働きの家庭ですが, 上司の理解, 多くの同僚と助け合いが出来る体制, そしてアカデミアという自由で斬新な研究に取り組める環境のおかげで, 臨床, 研究, 教育を円滑に進めることができています. 是非一緒にリウマチ・膠原病疾患の課題を克服するために臨床, 研究と取り組んでいきましょう.
3. 市中病院の臨床医(H13年卒)
私はアレルギーリウマチ内科に入局後、大学院に進学し、研究生活を送りました。学位取得後に都内市中病院に就職し、現在はリウマチ・膠原病の診療と研修医の先生の教育に従事しています。自己免疫疾患を臨床的により広く、より深く患者さんを診ることで体得したいと思い、今の職場に来ました。多くの患者さんの診療を続けて、いろいろ調べたり考えたりすることで、日々発見があります。そしてそうした気づきが患者さんのためにも自分のためにもなっていると実感しています。
医局では、よい先輩や同僚に囲まれ、自分が臨床医や研究者として成長する上でとても良い刺激になりました。また、大学院で研究を遂行し、論文を作成することを通じて、論理的思考やプレゼンテーションのみならず、自己免疫・自己炎症性疾患を遺伝学的、免疫学的にとらえ、考えることができるようになり、この経験は臨床を行ううえでも、大変役に立っています。
4. 女性のキャリアパス(土田優美先生、平成21年卒)
膠原病は若い女性に発症することも多く、同世代の女性により良い治療を提供したいと膠原病の診療・研究を志す女性の先生方も多いと思います。当科では、子育て中の女性が複数働いています。医局の理解もあり、子育てをしながら学位、専門医・指導医を取得できるサポート体制が整っています。また、ライフスタイルに合わせたポストが用意され、子育てをしながらでもキャリアを継続できる体制が用意されています。
当科では、生涯にわたる患者さんの支援を行うべく、昨年度から新たに2つの外来を立ち上げました。移行期外来は小児科からの移行期の患者さんを対象とし、妊娠サポート外来は妊娠・出産を希望される患者さんの膠原病治療、不妊治療、周産期の対応を産婦人科と共同で行う外来です。私は移行期外来・妊娠サポート外来を担当し、思春期から結婚、妊娠、出産まで様々なライフステージの膠原病患者さんの診療をさせていただく機会が増えました。自分自身の子育て経験も踏まえて、一人一人の患者さんが自分らしく生活できるような治療をできればと思い、診療に当たっている日々です。興味のある先生方からのご連絡をお待ちしております。
5. 国内外の研究留学(石垣和慶先生、平成17年卒)
私は現在、ボストンのBrigham And Women’s Hospital、Harvard Medical SchoolでResearch Fellowをしております。国保旭中央病院、都立駒込病院で膠原病診療を中心に内科全般の臨床を学んだ後、卒後6年目で当科大学院に入学しました。大学院在学中は、関節リウマチ患者末梢血や滑膜組織T細胞受容体の解析に従事しました。研究経験がゼロの状態から開始しましたが、山本一彦前教授(現名誉教授)、藤尾圭志教授、その他多くの先生方にサポートして頂き、T細胞受容体情報と遺伝子発現情報を単細胞レベルで同時に解析する実験系や、次世代シーケンサーを用いたT細胞受容体解析の実験系の確立に成功しました。また研究室内での活発な議論を通じて、自分の研究テーマの枠を超えて免疫学全般の基礎知識を習得することができました。大学院卒業後は理化学研究所(2015年〜)、ボストン(2018年〜)にて、自己免疫疾患に関連するゲノム異常の検索および機能解析を行っています。本研究では、ゲノム学に加えて免疫学の知識が求められ、大学院時代に習得した免疫学の知識・経験が大いに役立っています。今後も東大での貴重な経験を生かしながら研究を発展させていきたいと思っています。