患者さんへ「機械学習に基づくIgG4関連疾患の新規診断法の開発」についてのご説明
人工知能(AI)は、すでに私たちの日常生活を変化させつつありますが、近年は医療の分野にも浸透してきています。欧米では画像診断などの分野において、日常診療で活用されています。2016年8月には、東大医科研病院においてもAI を備えるコンピューターが特殊な白血病をわずか10分で診断し、60代女性患者さんの命が救われました。AI が2000万件以上のがん研究の論文や薬の特許情報を参照し、患者さんの遺伝子の情報と照らし合わせた結果、当初診断された急性白血病とは異なる特殊な白血病であることが判明し、抗がん剤の変更につながりました。このようにAI による診断の支援が着実に臨床に導入されてきています。
私たちリウマチ内科医は、膠原病(こうげんびょう)や関節リウマチの診断は、身体所見、血液検査所見、画像所見を組み合わせて行います。これはAIが得意とする領域です。そこで私たちは近未来の医療を見据えて、膠原病や関節リウマチのAIによる自動診断の可能性を探っています。そこで病態がある程度均一なIgG4関連疾患に焦点を当てて、当科を受診された患者さんの保存されている診療情報(身体所見、血液検査、画像所見)を利用して、IgG4関連疾患の自動診断が可能かどうかを調べたいと考えています。また自動診断でIgG4関連疾患と診断された場合、治療方針の決定のため、通常は画像診断が行われますが、血液検査が画像診断の代替になるかも合わせて検討したいと考えています。
なお、患者さんのなかで、この研究にご自身の診療情報が用いられることを希望しない方は、下記の問い合わせ先までご連絡ください。
【対象者とその人数】
この研究は、東京大学医科学研究所附属病院アレルギー免疫科を代表として、東京大学医学部附属病院をはじめ札幌医科大学、金沢大学、信州大学、京都大学が参加している共同研究です。東京大学医学部附属病院では、2011年4月1日から2019年6月30日までに、東京大学医学部附属病院アレルギー・リウマチ内科を受診したIgG4関連疾患の患者さんを対象とします。研究全体では、IgG4関連疾患の診断がついた患者さん以外にも、そのほかの膠原病や関節リウマチの患者さん、確定診断がつかず、経過観察になった患者さんも含まれ、全体でIgG4関連疾患の患者さん300名、そのほかの膠原病や関節リウマチの患者さん200名、診断がつかず、経過観察になった患者さん300名を対象とします。東京大学医学部附属病院では、IgG4関連疾患の診断がついた患者さん50名のみを対象とします。この研究では、新たに患者さんを募集することはありません。
【研究期間】
2019年11月21日~2021年3月31日まで
【研究体制】
研究分担者:研究責任者: | 山本元久 | 附属病院アレルギー免疫科 | 特任准教授 |
研究分担者: | 田中廣壽 | 附属病院アレルギー免疫科 | 診療科長・教授 |
吉川賢忠 | 附属病院アレルギー免疫科 | 講師 | |
山崎広貴 | 附属病院アレルギー免疫科 | 助教 | |
野島正寛 | TR治験センター | 准教授 | |
髙橋裕樹 | 札幌医科大学免疫・リウマチ内科 | 教授 | |
川野充弘 | 金沢大学膠原病・リウマチ内科 | 診療科長・講師 | |
水島伊知郎 | 金沢大学膠原病・リウマチ内科 | 特任助教 | |
濱野英明 | 信州大学消化器内科 | 診療教授 | |
吉藤 元 | 京都大学免疫・膠原病内科 | 講師 | |
藤尾圭志 | 東京大学アレルギー・リウマチ内科 | 教授 | |
庄田宏文 | 東京大学アレルギー・リウマチ内科 | 講師 | |
駒井俊彦 | 東京大学アレルギー・リウマチ内科 | 助教 |
これは現在の研究体制であり、研究の進展に伴って研究分担者や共同研究機関が増える可能性があります。
【ご協力いただきたい内容と方法】
本研究のために、下記のご協力をお願い申し上げます。
- 初診時の診療情報(身体所見、血液検査、画像所見)を利用させていただくこと。
新たに患者さんのご負担が増えることはありません。ご協力いただいた場合でも、謝礼などをお支払いできないことをご了承ください。
【個人情報の保護について】
あなたの個人情報を保護するため、情報には研究用IDのみをつけて管理し、研究に利用します。個人を識別する情報と研究用IDを記した対応表は、個人情報保護管理者が厳重に管理します。
個人情報管理システムについての詳細は、後掲の研究責任者にご質問ください。
【研究結果の公表】
本研究で一定の成果が得られた場合、研究結果を専門学会、学術専門誌を通じて発表させていただきます。その際、あなたの氏名等が公表されることは一切ありません。また、他の研究者による研究成果の検証可能性を確保するために、東京大学医科学研究所では「東京大学医科学研究所生命科学系研究データ保存のガイドライン」を策定しております。これに基づき、研究成果発表後も情報を東京大学医科学研究所に一定期間保存させていただくことをご了承ください。
【結果の開示】
本研究で得られる結果がすぐにあなたの診断や治療に役立つことはほとんどないと考えられます。そのため、あなたご自身に関する解析結果を個別にお伝えすること(開示)は原則として予定しておりません。ただし、研究が進み、研究結果が病気の予防、治療に役立つことが明らかになった場合には、その成果を論文等により公表することで社会に還元します。
【研究に協力することによる利益と不利益】
本研究に協力することにより、あなたが個人として直接的に受ける利益はありません。しかし、本研究によって解明された成果を社会へ還元することにより、新しい病気の予防法や治療法の開発につながることが期待できます。いわば次世代の利益になると理解していただきたいと思います。研究の進展によっては、特許などの知的財産権が生ずる可能性もあります。この場合、生じた知的財産権は大学や研究者等に帰属し、あなたには帰属しないことをご理解ください。
【この研究に診療データを提供したくない場合について】
2011年4月1日から2019年6月30日までの期間に、東京大学医学部附属病院アレルギー・リウマチ内科を受診された患者さんのなかで、この研究に診療情報を提供したくない方は、下記の問い合わせ先までご連絡ください。
あなたに関わる研究結果は破棄され、診療録などもそれ以降は研究目的に用いられることはありません。ただしご連絡いただいた時点で、すでに研究結果が論文に公表されている場合や、研究データの解析が終了している場合には、解析結果等からあなたに関するデータを取り除くことができないことをご了承ください。
【その他】
- ご希望があれば、研究計画書の内容をご覧いただくことができますので、研究責任者までご連絡ください。
- この研究に関する費用は、科学研究費助成事業から支出され、特定の企業や団体からの資金援助は受けておりません。政府指針及び東京大学医科学研究所利益相反ガイドラインに則り、本研究の利益相反関係は、東京大学医科学研究所に設置されている利益相反アドバイザリー室及び倫理審査委員会において確認されております。
- この研究は、東京大学医科学研究所倫理審査委員会にて承認され、、東京大学医学部附属病院長の許可を受けて実施されます。
以上の点をご理解いただいた上で、研究へのご協力をお願い申しあげます。なお、ご質問等があればご遠慮なくお尋ねください。
【問い合わせ先】
東京大学医学部附属病院 アレルギー・リウマチ内科 教授 藤尾 圭志(ふじお けいし)
東京大学医学部附属病院 アレルギー・リウマチ内科 講師 庄田 宏文(しょうだ ひろふみ)
住所:〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1
電話:03-3815-5411 (内線 33182)
FAX:03-3815-5954