疾患解説
混合性結合組織病(MCTD)
混合性結合組織病は膠原病の一種で、臨床的に全身性エリテマトーデス(SLE)様、強皮症様、多発性筋炎様の症状が混在し、かつ抗U1-RNP抗体が検出される病気です。30〜40歳台の女性に発症が多く、全国で約7000人の患者がいるものと考えられています。
症状としては寒いときなどに手指が白くなるレイノー現象や、手の腫脹がみられます。それに加えてSLE様、強皮症様、筋炎様の症状が認められます。
- (1) SLE様症状としては発熱、顔面紅斑、リンパ節腫脹、多発関節炎、漿膜炎が認められます。
- (2)強皮症様症状としては手指の皮膚の硬化、肺線維症(間質性肺炎)、食道運動機能の低下が認められます。
- (3)筋炎様症状としては上下肢の筋肉の筋力低下や筋肉痛を認めることがあります。
さらに重要な合併症として肺高血圧症があります。肺高血圧症はMCTDの5〜10%に合併し、動悸、労作時息切れ、胸痛が出現します。
MCTDの治療は副腎皮質ステロイド薬を中心とする薬物療法が基本となります。ステロイド剤の効果が充分でない場合には、免疫抑制薬(アザチオプリンまたはシクロホスファミド)を併用することがあります。
肺高血圧症の合併がなければMCTDの予後は比較的良好です。