疾患解説
気管支喘息
長引く風邪は気管支喘息の可能性 ゼーゼーヒューヒュー音がしなくても注意
気管支喘息 (一般的には単に喘息と呼ばれています)は、呼吸が苦しい、咳がつらい、といった特徴をもつ病気です。代表的な症状としては、風邪をひいた後に咳が長引く、呼吸をするとゼーゼーヒューヒュー音がする、夜から明け方にかけて咳や息苦しさで目が覚めてしまう、といったものがあげられます。似た病気としては咳喘息といって、ゼーゼーヒューヒュー音のしない、頑固な咳症状が特徴的なものもあります。コントロールが不十分な場合などに気管支喘息に移行することも知られています。
空気の通り道の炎症が原因
気管支喘息では、空気の通り道(気管支などのことで、気道といいます)に炎症がおきて腫れ、狭くなり、空気の流れが悪くなった結果、呼吸が苦しくなったり、痰が絡んだり、頑固な咳がでたりします。気道に炎症が起きるきっかけとしては、風邪などの感染症、花粉や大気汚染物質による刺激、寒暖の変化、湿度の変化、ストレス、天候や季節の変化など、さまざまなものがあります。そして、ひとたび炎症がおこりはじめると、気道はさらに過敏になり、普段はなんともないちょっとした刺激にも過剰に反応してさらなる炎症、咳などの症状を生むという悪循環に陥ります。
成人でも増えています
気管支喘息というと、子供の病気というイメージがあるかもしれませんが、近年成人においても急増しており、過去10-20年間で2-3倍程度に増加していると推定されています(厚生労働省 リウマチ・アレルギー対策委員会報告書 2011年)。2006年の厚生労働省調査では、全国の20-44歳の成人のうち、有症率(過去1年以内に呼吸をするとゼーゼーヒューヒュー音がしたことがある人)は9.4%、有病率(医療機関で気管支喘息と診断されている人)は5.4%でした。
放置により死の危険もあるが、コントロールも可能な病気
成人の気管支喘息は一生つきあっていく必要のある病気ではありますが、きちんと治療を続けることで症状をコントロールすることができる病気です。激しい症状が落ち着いた後にも、発作を繰り返さない為に予防を続けることが欠かせません。予防の上で重要なのは、吸入薬です。吸入ステロイドの普及とともに気管支喘息で命を落とす方は年々減っていますが、2013年時点で依然として年間1500人以上亡くなっており、その約90%を65歳以上の高齢者が占めています。症状がなくなったからといって、治療を自己中断することは危険です。予防を続けて発作を出さないように症状をコントロールすることで、通常の生活を送ることが可能ですので、定期的な通院を続けましょう。